近年、50代から起業する人が増えています。これは、定年後の生活に不安を感じたり、自分のスキルや経験を活かしたいと思ったり、新しい挑戦をしたいと思ったりする人が多いからでしょう。
しかし、50代からの起業は簡単なことではありません。成功するには、適した職種を選ぶことや、自分の強みを生かすこと、失敗を避けるためのポイントを知ることが必要です。この記事では、50代からの起業を成功させるための知識を紹介します。
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「おじさん・おばさん起業」?50代からの起業は成功するのか
50代から起業する人のなかには、サラリーマンを辞めて独立したり、定年後に新たな事業を始めたりする人もいます。このような50代からの起業を「おじさん・おばさん起業」と呼ぶこともありますが、果たして成功する可能性は高いのでしょうか?
起業家の平均年齢は上昇傾向
実は、起業家の平均年齢は上昇傾向にあります。日本政策金融公庫が2019年に発表した「創業者の実態調査」によると、開業者の平均年齢は43.5歳で、1991年度の調査開始以来もっとも高くなっています。また、50歳以上の開業者は全体の19.4%を占めており、1991年の9.3%から2倍の数字となっています。
このように、50代から起業する人は決して少なくなく、むしろ増加傾向にあると言えます。では、50代から起業するメリットは何でしょうか?
50代から起業するメリット
50代から起業するメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- 豊富な経験や知識を活かせる
- 自分のペースで働ける
- 自分のやりたいことを実現できる
- 社会貢献や後進育成につながる
以上のように、50代から起業する人にはメリットが多くあります。しかし、それだけでは成功は保証されません。
50代からの起業に適した職種
50代からの起業には、自分の経験や知識を活かせる職種がおすすめです。ここでは、50代からの起業に適した職種として、コンサルティング、コーチング、人材紹介業の3つを紹介します。
コンサルティング
コンサルティングとは、自分の専門分野や業界での知見をもとに、クライアントの課題解決やビジネス改善にアドバイスを提供する仕事です。コンサルティングは、50代からの起業に向いている理由として、以下の点が挙げられます。
- 特定の分野での豊富な経験や知識が必要とされるため、50代であっても高い価値を提供できる
- 自分の得意な分野や興味のあるテーマを選べるため、やりがいが高い
- クライアントと直接契約することが多いため、自分のペースで仕事ができる
コンサルティングを始めるには、自分の専門性や強みを明確にし、それをアピールできるウェブサイトやブログなどを作成することが重要です。また、以前勤めていた会社や同業者など、自分の人脈を活用して仕事を獲得することも効果的です。
コーチング
コーチングとは、自分の経験やスキルをもとに、クライアントの目標達成や人生設計に寄り添う仕事です。コーチングは、50代からの起業に向いている理由として、以下の点が挙げられます。
- 人生経験や人間関係のスキルが重要となるため、50代であっても信頼されやすい
- 自分の価値観やライフスタイルに合わせてコーチングの対象や方法を選べるため、柔軟性が高い
- オンラインでコーチングを行うことが可能なため、場所や時間に縛られない
コーチングを始めるには、自分のコーチングのスタイルや方針を明確にし、それを伝えられるウェブサイトやSNSなどを作成することが重要です。また、コーチングの資格や認定を取得することで、信頼性や知名度を高めることもできます。
関連記事:コーチング起業とは|独立の流れや資格の必要性・成功するポイントについても
人材紹介業
人材紹介業とは、自分の人脈やネットワークを活用して、求職者と求人企業をマッチングさせる仕事です。人材紹介業は、50代からの起業に向いている理由として、以下の点が挙げられます。
- 自分が以前勤めていた業界や職種であれば、市場動向やニーズに詳しいため、高いマッチング率を実現できる
- 自分の人脈やネットワークを最大限に活かせるため、仕事の獲得が容易である
- 自分の興味のある業界や職種に特化して人材紹介を行うことができるため、専門性が高い
人材紹介業を始めるには、自分のターゲットとなる求職者や求人企業を明確にし、それに合わせたウェブサイトや名刺などを作成することが重要です。また、人材紹介業には法律上の規制や義務があるため、事前に確認しておくことも必要です。
50代からの起業で成功する人の共通点
50代からの起業は、若い世代に比べてリスクが高いと思われがちですが、実は成功する人も多くいます。ここでは、50代からの起業で成功する人の3つの共通点を紹介します。
特定の業界での豊富な経験・知識
50代からの起業で成功する人のひとつ目の共通点は、特定の業界での豊富な経験・知識を持っていることです。50代になると、自分が長年働いてきた業界や分野に関する専門的な知識やスキルを身につけているはずです。これらの経験・知識は、起業する際に大きな強みとなります。
例えば、コンサルティングやコーチングなどのサービス系の職種では、自分が得意とする分野やテーマに関するアドバイスや指導を提供することができます。また、人材紹介業などのマッチング系の職種では、自分が熟知している業界や職種に関するニーズや動向を把握し、適切な人材や企業を紹介することができます。このように、特定の業界での豊富な経験・知識を活かすことで、50代からの起業でも競争力を高めることができます。
広い人脈とネットワーク
50代からの起業で成功する人のふたつ目の共通点は、広い人脈とネットワークを持っていることです。50代になると、自分がこれまでに出会ったり関わったりした人々が多くなります。これらの人々は、起業する際に大きな支えとなります。
例えば、自分が提供するサービスや商品に興味を持ってくれたり、紹介してくれたりする可能性があります。また、自分が困ったときに助けてくれたり、アドバイスしてくれたりする可能性もあります。さらに、自分が知らない分野や情報について教えてくれたり、繋げてくれたりする可能性もあります。このように、広い人脈とネットワークを持つことで、50代からの起業でもビジネスチャンスや協力者を見つけることができます。
成熟したマインドセット
50代からの起業で成功する人の共通点みっつ目は、成熟したマインドセットを持っていることです。50代になると、自分自身や社会や人生に対する見方や考え方が変わってきます。これらの変化は、起業する際に大きなメリットとなります。
例えば、自分自身に対しては、自分の強みや弱みを客観的に認識し、自信を持ちながらも謙虚に挑戦することができます。また、社会に対しては、自分が社会に貢献できる価値や使命を見出し、社会のニーズや問題に対応することができます。さらに、人生に対しては、自分の夢や目標を明確に持ち、挫折や失敗にめげずに前向きに取り組むことができます。このように、成熟したマインドセットを持つことで、50代からの起業でも成功への道筋を描くことができます。
50代からの脱サラ・独立で失敗しないためのポイント
50代からの起業は、自分の人生を変えるチャンスですが、同時にリスクも高まります。成功するためには、以下の3つのポイントを押さえておく必要があります。
自分の強みを生かせる分野を選ぶ
50代からの起業では、自分の強みを生かせる分野を選ぶことが重要です。自分の強みとは、長年培ってきた経験や知識、スキルや資格など、他の人にはない独自の価値です。自分の強みを生かせる分野では、競争力が高く、お客様からの信頼も得やすいです。逆に、自分の強みと関係ない分野に飛び込むと、若い世代との競争に負けやすくなります。
自分の強みを見つけるためには、以下のような質問に答えてみると良いでしょう。
- これまでどんな仕事をしてきたか?
- どんな仕事が得意だったか?
- どんな仕事が好きだったか?
- どんな仕事で評価されたか?
- どんな仕事で成果を出したか?
- どんな資格やスキルを持っているか?
- どんな知識や情報に詳しいか?
- どんな人と仲が良いか?
これらの質問に答えることで、自分の強みが何か、それを活かせる分野は何かが見えてくるはずです。
培ってきた人脈を活用する
50代からの起業では、培ってきた人脈を活用することも大切です。人脈を活用することで、ビジネスパートナーや顧客を紹介してもらえる可能性や、アドバイスやフィードバックをしてもらえる可能性があります。
人脈を活用するためには、以下のようなことを心がけましょう。
- 定期的に連絡を取り合う
- 感謝や尊敬の気持ちを伝える
- 相手のニーズや課題に応える
- 相手の成功や幸せを喜ぶ
- 信頼関係を築く。
人脈は一朝一夕には作れませんが、長期的に見れば最大の資産になります。
事業がうまくいかない場合の退路を確保する
50代からの起業では、事業がうまくいかない場合の退路を確保することも必要です。退路とは、事業をやめたり、規模を縮小したりする場合に、どうやって生活していくかということです。
退路を確保するためには、以下のようなことを考えておきましょう。
- 必要な費用や収入の見込みをしっかり計算する
- 自分の貯金や資産の状況を把握する
- 家族や友人と相談し、理解と協力を得る
- 定期的に収支やキャッシュフローをチェックする
- 市場や競合の動向に注意する
- 自分の体調や精神状態に気をつける
50代からの起業は、リスクとチャンスが表裏一体です。退路を確保することで、安心して挑戦できます。
50代からの起業は綿密な事前準備が必要
50代からの起業は、自分の人生の第二幕として魅力的な選択肢です。しかし、成功するためには、自分の強みを生かせる分野を選ぶこと、培ってきた人脈を活用すること、事業がうまくいかない場合の退路を確保することが必要です。これらのポイントを押さえておけば、50代からの起業は夢ではなく現実になるでしょう。