女性起業家として事業を始めるときや、事業を拡大するときに必要な資金を調達する方法の一つが、助成金や補助金を利用することです。しかし、助成金や補助金にはそれぞれ条件や対象が異なり、申請方法や手続きも複雑です。どの助成金や補助金が自分の事業に適しているか、どうやって申請すればいいか、わからない方も多いでしょう。
そこで、この記事では、女性起業家におすすめの助成金や補助金をまとめてご紹介します。また、申請時に注意すべきポイントも解説します。女性起業家の方はぜひ参考にしてください。
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助成金と補助金の違い
助成金と補助金は、いずれも政府や地方自治体から提供される財政支援ですが、目的や特徴に違いがあります。
助成金は主に雇用保険料を財源とし、雇用や労働環境の整備に焦点を当てています。対象範囲は限定されており、支給額は数十万円から100万円程度です。補助金は事業者の新規事業や研究開発など、より幅広い経済活動を支援する目的で、支給額が数百万円から数億円に及ぶことがあります。
また補助金は種類が豊富で、経費の適用範囲も広いですが、審査が必要で公募期間が限られていることが多いです。助成金は通年で申請可能で、要件を満たせばほぼ確実に支給されますが、補助金は審査で落ちる可能性があります。
女性起業家におすすめの助成金
ここでは、女性起業家におすすめの助成金を紹介します。
- 両立支援等助成金
- 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業(東京都)
- キャリアアップ助成金
- 地域中小企業応援ファンド
- 雇用関係の助成金
両立支援等助成金
両立支援等助成金は、働きながら子育てや介護を行う労働者の雇用継続をサポートするための助成金です。出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育児休業等支援コースなどがあり、それぞれのコースに応じて助成金が支給されます。この助成金は仕事と家庭の両立を目指す女性におすすめです。
例えば、育児休業等支援コースの概要は下記のとおりです。
項目 | 詳細 |
---|---|
対象者 | 育児休業取得や職場復帰に関する取り組みを実施した事業主 |
助成金額 | 育休取得時: 30万円 職場復帰時: 30万円 業務代替支援: 新規雇用50万円、手当支給等10万円 職場復帰後支援: 制度導入30万円、看護休暇制度1,000円×時間、保育サービス費用2/3補助 情報公表加算: 2万円 |
申込み方法 | 助成金の申請は、厚生労働省の指定した窓口やオンラインシステムを通じて行います。詳細な手続きや必要書類については、厚生労働省のWebサイトで確認する必要があります。 |
若手・女性リーダー応援プログラム助成事業(東京都)
東京都が実施する若手・女性リーダー応援プログラム助成事業は、新規に開業する女性または39歳以下の男性が対象です。店舗の新装や改装、設備導入などの経費の一部を助成し、都内商店街の活性化を目指しています。実店舗を持たずにネットショップで営業している方が新たに店舗を開設する場合も対象となります。
女性であれば年齢にかかわらず申請できるため、都内での起業を検討している方におすすめです。
参考:若手・女性リーダー応援プログラム助成事業 | 事業 | 東京都中小企業振興公社
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の企業内キャリアアップを推進するための助成金で、正社員登用や処遇改善などを行った事業主に対して支給されます。正社員化コースや賃金規定改定コースなどがあり、対象となるコースによって助成額が異なります。たとえば正社員化コースの場合、令和5年11月の改定により、以下のように変更されています。
- 有期契約から正社員への転換の場合:一人当たりの助成金額は57万円から80万円へ増額
- 無期契約から正社員への転換の場合:一人当たりの助成金額は28.5万円から40万円へ増額
地域中小企業応援ファンド
地域中小企業応援ファンドは、中小企業者や創業者を対象とした助成金で、中小企業者の支援機関やNPO法人も利用可能です。ファンドによって助成額は50万円から3000万円までと幅広く設定されています。地域中小企業応援ファンドは特に地域に根ざした事業を展開する起業家におすすめです。
参考:地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)|中小機構
雇用関係の助成金
雇用関係の助成金とは、厚生労働省が扱っている雇用の安定化や新たな雇用の創出を目的とした助成金の総称です。例えば、新規事業のための人材雇用や障害者の雇用、人材育成に関する支援など、労働者の職業安定や能力開発に重点を置いています。
詳しくは厚生労働省の公式サイトをご確認ください。
女性起業家におすすめの補助金
ここでは、女性起業家におすすめの補助金を紹介します。
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 事業承継・引継ぎ補助金
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の経営安定化と成長を支援することを目的としています。特に新しい商品やサービスの開発、販路開拓、業務効率化などの取り組みに対して、補助金が提供されます。小規模事業者持続化補助金の補助額(補助上限)は令和5年より50万円〜最大250万円に拡充され、店舗改装、広告掲載、展示会出展費用などが補助対象となっています。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、製品開発や生産プロセスの改善を行う中小企業や小規模事業者を支援します。技術革新や品質向上、生産性の向上などを目的とした事業に対して、補助金が提供されます。補助上限額は750万円~5,000万円です。ものづくり補助金は、製造業やものづくりに関連する事業を展開する起業家におすすめです。
参考:ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
IT導入補助金
IT導入補助金は、情報技術を活用して業務の効率化や新たな市場の開拓を目指す事業者を支援します。例えば、ウェブサイトやECサイトの開設、CRMやERPシステムの導入などが対象です。2023年度のIT導入補助金の補助額の最大は450万円でした。
参考: IT導入補助金2023
女性起業家が助成金・補助金を申請する際の注意点
女性起業家にとって、助成金や補助金は事業を始める際や拡大する際に大きな支援となります。しかし、助成金や補助金を申請するには、いくつかの注意点があります。ここでは、女性起業家が助成金や補助金を申請する際に知っておくべき注意点を3つ紹介します。
必ず受給できるわけではない
助成金や補助金は、申請者の数や予算の状況によって、必ず受給できるとは限りません。申請者が多い場合や予算が少ない場合は、審査が厳しくなったり、抽選で決まったりすることがあります。また、申請書類の内容や事業計画の妥当性も審査のポイントとなります。そのため、申請する前には、各助成金や補助金の募集要項や審査基準をよく確認し、必要な書類や資料を準備しましょう。
後払いでの支給となる
助成金や補助金は、一般的には後払いでの支給となります。つまり、事業を実施した後に、実績報告書や領収書などを提出して、支給を受けるという流れです。そのため、事業を始める際には自己資金や借入金などで資金を調達する必要があります。また、支給されるまでには時間がかかることもありますので、資金繰りに注意しましょう。
複数の助成金・補助金は同時に受給できない
助成金や補助金は、同じ事業に対して複数のものを同時に受給することはできません。これは重複受給と呼ばれており、不正行為とみなされます。もし重複受給が発覚した場合は、返還や罰則の対象となる可能性があります。そのため、申請する際には、他の助成金や補助金との関係性を確認し、重複しないように注意しましょう。
女性に優しい助成金・補助金を活用しよう
女性起業家にとって、助成金や補助金は事業を始める際や拡大する際に大きな支援となります。しかし、助成金や補助金にはそれぞれ特徴や条件があり、申請する際には注意が必要です。この記事では、女性起業家におすすめの助成金や補助金を紹介し、申請する際の注意点も解説しました。ぜひ参考にして、自分に合った助成金や補助金を探してみてください。