脱サラ起業とは、会社を辞めて自分でビジネスを始めることです。脱サラ起業にはメリットもデメリットもありますが、なぜ多くの人が脱サラ起業に挑戦するのでしょうか？
この記事では、脱サラ起業の定義やメリット・デメリット、失敗しやすい理由や仕事選びのコツ、成功のポイントなどを解説します。
脱サラ起業とは
脱サラ起業とは、文字通りに解釈すれば、「サラリーマン（会社員）を辞めて（脱サラして）、自分でビジネスを始める（起業する）」ことを指します。会社に属さず、自分の会社を設立もしくは個人事業主として働くワークスタイルで、会社員時代の貯蓄やノウハウを生かせることから人気が高まっている起業方法です。
脱サラ起業をする年齢は20代～50代まで幅広く、多くの方が起業を通して夢をかなえています。
脱サラ起業のメリット
脱サラ起業には様々なメリットがありますが、ここでは主なものを3つ紹介します。
収入の上限がなくなる
脱サラ起業の大きなメリットとしてまず挙げられるのが「収入の上限がなくなる」ことです。サラリーマンの場合、年俸や月給といった形で収入の上限が決まってしまいます。しかしながら、自分自身がビジネスを興すとなるとその限界は自分自身で決めることが可能になります。
例えば、ある商品を1つ10,000円で販売し、月に100個売れれば月収は1,000,000円、200個売れれば2,000,000円となります。このように売上によって収入が変動するため、自分で努力次第でどんどん稼ぐことが可能です。
時間の自由度が増える
脱サラ起業の大きな魅力の一つに、時間の自由度が増えるという点があります。従来のサラリーマン生活では、基本的には会社の決めた勤務時間に束縛され、自由に使える時間は限られています。それに対し、起業すると自分自身で仕事の進行度やスケジュールをコントロールできるため、効率良く時間を使うことが可能になります。
例えば、自分の体調や気分によって働く時間を調節したり、重要な家族のイベントに参加するためにフレキシブルに働く時間を設定したりできます。また、得意な時間帯に集中して働くことで生産性を上げることも可能です。
人間関係等の制約がなくなる
会社員の場合、人間関係は基本的に会社に左右されます。上司や部下、同僚や取引先との関係は仕事に影響します。人間関係が良好であれば仕事はスムーズに進みますが、そうでなければストレスやトラブルになります。また、会社には規則やマナーがあります。服装や言動にも気をつけなければなりません。つまり、会社員の人間関係には制約があります。
しかし、脱サラ起業をすれば、人間関係等の制約はなくなります。自分で仕事を選ぶことができるので、好きな人や信頼できる人と仕事をすることができます。また、自分でビジネスを運営することで、自分の考えや価値観を反映させることができます。服装や言動にも自分らしさを表現できます。
脱サラ起業のデメリット
脱サラ起業にはメリットもありますが、デメリットも無視できません。ここでは、脱サラ起業のデメリットとしてよく挙げられる3つの点について解説します。
収入が不安定になる
脱サラ起業をすると、収入が不安定になることは避けられません。会社員の場合は、毎月一定の給与が支払われますが、起業家の場合は、売上や利益に応じて収入が変動します。特に、起業初期は赤字が続く可能性も高く、資金繰りに苦労することもあります。また、収入が不安定だと、将来の計画や生活設計も難しくなります。例えば、住宅ローンや教育費などの大きな出費に対応できるかどうか不安になるでしょう。
原則、自己責任となる
脱サラ起業をすると、原則として自己責任となります。会社員の場合は、会社や上司に責任を委ねることができますが、起業家の場合は、自分で決断し、自分で責任を負う必要があります。例えば、事業計画や戦略の立案、顧客開拓や営業活動、人材採用や管理など、すべて自分で行わなければなりません。また、事業に失敗したり、トラブルに巻き込まれたりした場合も、自分で対処しなければなりません。そのため、精神的な負担やストレスも大きくなります。
事務処理をする必要がある
脱サラ起業をすると、自分で事務処理をする必要があります。会社員の場合は、経理や税務などの事務処理は会社が行ってくれますが、起業家の場合は、自分で行わなければなりません。例えば、売上や経費の管理、帳簿や決算書の作成、税金の申告や納付などです。これらの事務処理は時間や手間がかかりますし、専門的な知識やスキルも必要です。また、間違えたり怠ったりすると、法的な問題や罰則に直面する可能性もあります。
脱サラ起業が失敗しやすい理由
脱サラ起業をした人の多くは、数年以内に失敗してしまうと言われています。では、なぜ脱サラ起業は失敗しやすいのでしょうか？ここでは、脱サラ起業が失敗しやすい理由として、以下の3つを挙げてみます。
準備不足のまま起業してしまう
「準備不足のまま起業してしまう」というのは、脱サラ起業が失敗に終わる大きな要因の一つです。準備不足とは、具体的には以下のような状況を指します。
- ビジネスプランが不明瞭：自社のビジネスモデルや収益モデルを明確に定めずに起業してしまうケースです。これにより、ビジネスの方向性がブレやすく、経営が安定しづらいという問題が生じます。
- 資金繰りの計画がない：起業初期には利益を上げるまでの間、必要な経費をどのように捻出するかの計画が必要です。これがないと、資金難により早期に事業を停止しなければならないこともあります。
- スキルや知識の不足：自分の得意な分野だけでなく、経営に必要な知識やスキルも必須です。これを身につけることなく起業すると、問題解決能力や判断力不足により失敗する可能性が高まります。
脱サラ起業は、しっかりと準備を行い、以上のような問題を未然に防ぐことが成功への第一歩となります。
経営に必要な知識やスキルが身についていない
企業を運営するには、一般的なビジネススキルだけではなく、経営者として必要な特別な知識やスキルが求められます。会計、法務、人事、営業など、多岐に渡る専門知識が必要となります。これらの知識が不足していると、適切な経営判断を下すことが難しくなり、結果として企業の成長にブレーキをかけてしまう可能性があります。
例えば、以下のようなスキルが必要とされます。
- 会計知識：財務状況を把握し、適切な経営判断を下すため
- 法務知識：法律違反を避け、企業を守るため
- 人事知識：良い人材を確保し、適切に育成・評価するため
- 営業技術：新規顧客を獲得し、既存顧客との関係を深めるため
これらを身につけることなく脱サラ起業を行うと、思わぬトラブルに見舞われることがあります。そのため、起業前の準備として、これらのスキルを習得することが重要です。
人脈が不足している
脱サラ起業をするということは、自分でビジネスを立ち上げるということです。しかし、自分だけでビジネスを成功させることができると思い込むのは危険です。以下のケースのように、人脈を広げる努力をしなければビジネスの成長速度が低下してしまうでしょう。
- 自分のビジネスに関心のある人や応援してくれる人を探す努力をしない
- 顧客やパートナー、メンターなどの有益な関係を築く機会を逃す
- 同業者や競合他社との交流や情報交換を避ける
- ネットワーキングイベントやセミナーなどに参加しない
これらのような人脈不足は、起業後にビジネスに必要なリソースやサポートを得られなくなります。例えば、新しい顧客やパートナーを見つけられなかったり、ビジネスに関するアドバイスやフィードバックを受けられなかったり、市場動向や競合戦略に対応できなかったりすることがあります。その結果、ビジネスが孤立してしまい、失敗に陥ることがあります。
脱サラ起業における仕事選びのコツ
脱サラ起業をするときには、自分がどんな仕事をするかを決める必要があります。しかし、仕事選びは簡単なことではありません。自分に合った仕事を見つけるためには、以下の3つのポイントを考慮すると良いでしょう。
なお脱サラ起業におすすめの仕事については、下記の記事でも解説しています。
関連記事：脱サラ起業におすすめの職種ランキング10選｜職種の選び方や注意点も
自分のスキルや経験を活かせる仕事を選ぶ
脱サラ起業では、自分のスキルや経験が最大の武器となります。自分が得意なことややりがいのあることを仕事にすることで、高い品質や価値を提供できる可能性が高まります。また、自分のスキルや経験を活かせる仕事は、競合他社との差別化もしやすくなります。例えば、元々教師だった人は、オンライン教育サービスや教材作成などの仕事に向いているでしょう。元々美容師だった人は、ヘアサロンや美容関連の商品販売などの仕事に向いているでしょう。
初期費用やランニングコストを抑えられる仕事を選ぶ
脱サラ起業では、資金面も重要な要素です。初期費用やランニングコストが高すぎると、収益が上がるまでに時間がかかり、資金繰りに苦しくなる可能性があります。また、初期費用やランニングコストが高い仕事は、リスクも高くなります。例えば、飲食店や物販店などの仕事は、店舗や商品の購入・管理・在庫・廃棄などに多くの費用がかかります。一方、ウェブデザインやコンサルティングなどの仕事は、パソコンやインターネット環境さえあれば始められるため、初期費用やランニングコストを抑えられます。
長期的に需要のある仕事を選ぶ
脱サラ起業では、将来性も考慮する必要があります。流行り廃りの激しい仕事や市場規模が小さい仕事は、長期的に安定した収入を得られるかどうか不安です。また、技術革新や社会変化によって需要が減少する可能性もあります。例えば、CDショップやレンタルビデオ店などの仕事は、デジタル化やネット配信の普及によって需要が減少しています。一方、介護や健康管理などの仕事は、高齢化社会や健康志向の高まりによって需要が増加しています。
脱サラ起業を成功させるポイント
脱サラ起業は、多くの人が憧れるものですが、成功するには簡単なことではありません。失敗のリスクを減らすためには、以下のポイントを押さえておく必要があります。
明確なビジョンを持つ
脱サラ起業をする前に、自分がどんなビジネスをしたいのか、どんな価値を提供したいのか、どんな目標を達成したいのか、明確にしておくことが大切です。ビジョンがあれば、起業の方向性や意義がはっきりし、モチベーションや集中力を高めることができます。また、ビジョンをもとに事業計画やロードマップを作成することで、具体的な行動や判断の指針になります。
市場調査を徹底する
脱サラ起業をする際には、自分のビジネスがどんな市場に向けられているのか、市場の規模やニーズ、競合状況などをしっかりと調査することが必要です。市場調査をすることで、自分のビジネスの強みや弱み、機会や脅威を把握することができます。また、市場調査をもとに、自分のターゲット層やセグメントを明確に定義し、顧客に対してどんな価値提案や差別化要素を打ち出すかを考えることができます。
資金計画を立てる
脱サラ起業では、資金面での不安が大きな課題です。資金不足に陥ると、事業の継続や発展が困難になります。そこで、資金計画を立てることが重要です。資金計画では、自分のビジネスに必要な初期費用やランニングコスト、収入や支出の見込みなどを詳細に算出し、資金繰り表を作成します。また、資金調達の方法やタイミングも検討します。資金計画を立てることで、資金面でのリスクを管理し、安定した経営基盤を築くことができます。
在職中から人脈作りを意識する
脱サラ起業では、人脈が非常に重要です。人脈があれば、ビジネスパートナーや顧客、メンターなど様々な支援者や協力者を得ることができます。また、人脈から情報やアドバイス、紹介など様々な恩恵を受けることができます。そこで、在職中から人脈作りを意識することがおすすめです。在職中には、同僚や上司だけでなく、業界関係者や専門家など幅広い人と交流し、信頼関係を築くことが大切です。また、SNSやブログなどオンラインでも積極的に発信し、自分の専門性や魅力をアピールすることが有効です。
マーケティング戦略を立てる
脱サラ起業では、自分のビジネスを知ってもらうことが重要です。知ってもらえなければ、どんなに優れた商品やサービスを提供しても、売上や利益につながりません。そこで、マーケティング戦略を立てることが必要です。マーケティング戦略では、自分のビジネスのブランドやメッセージ、コンセプトなどを明確にし、ターゲット層に合わせた効果的なプロモーション方法やチャネルを選択します。また、マーケティングの効果を測定し、改善策を考えることも重要です。
脱サラ起業を成功させよう
脱サラ起業は、多くのメリットを享受できる一方で、失敗のリスクも高いものです。そのため、脱サラ起業を成功させるには、準備や計画が重要です。まずは、自分のスキルや経験を活かせる仕事を選び、市場調査や資金計画をしっかりと行いましょう。また、在職中から人脈作りやマーケティング戦略を意識することも大切です。脱サラ起業は、自分の夢を実現するためのチャレンジです。明確なビジョンを持ち、努力と工夫を続ければ、必ず成功に近づくことができるでしょう。