友達と起業するというのは、夢を共有して一緒にビジネスを始めるという魅力的な選択肢です。しかし、友達と起業することにはメリットだけでなく、デメリットもあります。また、友達と起業する場合には、失敗を避けるためのポイントも知っておく必要があります。
この記事では、友達と起業した成功例やメリット・デメリット、そして失敗を避けるためのポイントについて解説します。友達と起業することを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
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友達と起業した成功例
ここでは、友達と起業した成功例として、世界的企業から2社の事例を紹介します。
Apple
Appleは、1976年にスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックが友人のロナルド・ウェインと共に創業した会社です。ジョブズとウォズニアックは高校時代からの友人で、コンピューターに興味を持っていました。彼らは自宅のガレージでパーソナルコンピューターを開発し、Apple Iという製品を発売しました。その後、Apple IIやMacintoshなどの革新的な製品を次々と生み出し、コンピューター産業に革命を起こしました。
Appleの成功要因は、ジョブズとウォズニアックが互いに補完しあう関係だったことです。ウォズニアックは技術の天才であり、最初のAppleコンピューターの回路基板を設計しました。一方、ジョブズはビジネス感覚とマーケティングスキルに長けており、両者の組み合わせがAppleの成功に不可欠でした。彼らはそれぞれの得意分野を活かして協力し合い、素晴らしい製品を作り上げました。
Googleは、1998年にラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが共同で設立した会社です。ペイジとブリンはスタンフォード大学の博士課程で出会いました。彼らはインターネット上の情報を効率的に検索する方法を研究していました。彼らはページランクというアルゴリズムを開発し、これがGoogle検索エンジンの基盤となりました。Googleはその高速性や正確性で人気を集め、現在ではインターネットの代名詞となっています。
Googleの成功要因は、ペイジとブリンが同じビジョンや価値観を持っていたことです。彼らはインターネットを通じて世界中の人々に情報を提供することに情熱を持っていました。彼らは自分たちの信念に基づいてビジネスを展開し、常にユーザーの利便性や満足度を最優先に考えました。
友達と起業するメリット
友達と起業するということは、一緒に夢を追いかける仲間ができるということです。しかし、友達と起業するだけで成功するわけではありません。ここでは、友達と起業するメリットについて紹介します。
相談がしやすい
友達と起業する最大のメリットは、相談がしやすいということです。起業には様々な課題や問題がつきものです。そのときに、信頼できる相談相手がいれば、不安やストレスを軽減することができます。また、友達ならではの親密さや気心の知れた関係性を活かして、率直な意見やアドバイスを交換することができます。相談がしやすいということは、起業家の心理的なサポートにもなります。
作業分担の効率性が増す
友達と起業するもう一つのメリットは、作業分担の効率性が増すということです。起業には多岐にわたる業務がありますが、一人で全てをこなすのは非常に困難です。そこで、友達と起業する場合は、それぞれの得意分野や役割を分担して、効率的に作業を進めることができます。
例えば、営業やマーケティング、開発やデザイン、経理や法務などの分野を分けて担当することで、時間やコストを節約することができます。また、作業分担をすることで、互いの責任感やモチベーションも高まります。
孤独感の軽減が可能
友達と起業するさらに一つのメリットは、孤独感の軽減が可能ということです。起業家は孤独な戦いを強いられることが多くあります。特に、一人で起業する場合は、誰にも相談できなかったり、理解されなかったり、支えてくれる人がいなかったりすることがあります。そのような状況では、精神的にも肉体的にも消耗してしまう可能性が高いです。
しかし、友達と起業する場合は、共に苦しみや喜びを分かち合うことができます。また、お互いに励まし合ったり、気分転換したりすることもできます。孤独感の軽減は、起業家の健康や幸福度にも大きく影響します。
適材適所で働ける
友達と起業するメリットのひとつに、適材適所で働けるということが挙げられます。友達と起業する場合、互いの強みや弱みをよく知っているので、それに応じて業務を分担することができます。例えば、営業力が高い人は営業部門を担当し、企画力が高い人は企画部門を担当するなどです。
このように、自分の得意なことをやることで、仕事の効率や品質が向上し、やりがいやモチベーションも高まります。また、自分の苦手なことは友達に任せることができるので、ストレスや負担も軽減されます。
友達と起業する際のデメリット
友達と起業することには、多くのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。友達と起業する際に注意すべきデメリットを以下に紹介します。
コミュニケーションの障害が発生する
友達と起業する場合、コミュニケーションの障害が発生する可能性があります。友達という関係性から、ビジネス上の意見や批判を素直に言いにくいことがあるでしょう。また、友達同士であることを理由に、コミュニケーションの頻度や質を低下させてしまうこともあります。これらのことは、ビジネスの成果やチームワークに悪影響を及ぼす可能性が高いです。
コミュニケーションの障害を回避するためには、友達と起業する前に、ビジネスパートナーとしてのルールや役割分担を明確にしておくことが重要です。また、定期的にフィードバックや評価を行い、互いに成長や改善を促すことも大切です。
人間関係がビジネス決断に影響することがある
友達と起業する場合、人間関係がビジネス決断に影響することがあります。例えば、友達の感情や立場を優先してしまい、客観的な判断ができなくなることがあるでしょう。また、友達同士で意見が対立した場合、感情的になってしまったり、仲間割れを起こしたりするリスクもあります。これらのことは、ビジネスの方向性や戦略に悪影響を及ぼす可能性が高いです。
人間関係がビジネス決断に影響しないようにするためには、友達と起業する前に、ビジネスの目的やビジョンを共有しておくことが重要です。また、意思決定のプロセスや基準を明確にしておき、論理的かつ公平な判断を行うことも大切です。
責任の所在が曖昧になりやすい
友達と起業するとき、一緒に仕事をする仲間としての関係性が強くなります。しかし、それが原因で責任の所在が曖昧になりやすいというデメリットもあります。
たとえば、友達同士であれば、失敗したときに責め合わないで済むかもしれませんが、経営者としては、その失敗の原因や責任者を明確にしなければなりません。また、友達と起業すると、自分の役割や責務を十分に認識しないで、気楽に構えてしまうこともあります。これは、会社の成長や利益に影響を与える可能性があります。
責任の所在が曖昧にならないようにするためには、友達と起業する前に、役割分担や報酬体系、経営方針などを明確に決めておくことが重要です。また、定期的にミーティングを行って、進捗状況や課題点を共有し、フィードバックを行うことも必要です。友達と起業する場合でも、プロフェッショナルな態度でビジネスを行うことが求められます。
適切な能力評価が難しい
友達と起業するもう一つのデメリットは、適切な能力評価が難しいことです。友達という関係性から、能力や成果に基づいて報酬や評価を決めることができず、感情や人情に左右されることがあります。
たとえば、友達の能力や貢献度が低くても、仲間はずれにしたくないからという理由で高い報酬を支払ったり、評価を上げたりすることがあります。逆に、自分よりも優秀な友達に対しては、嫉妬や劣等感から低い報酬や評価を与えたりすることもあります。これらの行動は、会社の公平性や正当性を損なうだけでなく、社員のモチベーションや士気を下げることにもつながります。
適切な能力評価を行うためには、客観的な基準や指標を設定しておくことが大切です。また、能力評価は自分だけで行わずに、他の社員や外部の専門家にも参加してもらうことで、より客観的かつ公正な評価を行うことができます。
友達と起業するとき失敗を避けるためのポイント
友達と起業することは、多くのメリットがありますが、同時にデメリットやリスクも存在します。友達との関係を壊さずに、成功したビジネスを築くためには、以下の3つのポイントを押さえておく必要があります。
会社経営の知識を身につける
友達と起業する場合、会社経営に関する知識が不足していることが多いです。会社経営には、法律や税務、会計、人事、マーケティングなど、様々な分野の知識が必要です。これらの知識がないと、トラブルや損失を招く可能性が高まります。
会社経営の知識を身につけるためには、以下の方法が有効です。
- 専門家やコンサルタントに相談する
- 起業支援や教育機関でセミナーや講座を受ける
- 書籍やインターネットで自己学習する
友達と起業する場合は、特に役割分担や報酬体系、契約書などの法的な面に注意する必要があります。事前に明確なルールや合意を作っておくことで、後からトラブルを防ぐことができます。
効果的な意思決定構造を作成する
友達と起業する場合、意思決定のプロセスが曖昧になりやすいです。友達という関係性から、意見を言いづらかったり、相手の気持ちを優先したりすることで、最善の判断ができなくなることがあります。
効果的な意思決定を行うためには、以下の方法が有効です。
- 目標やビジョンを共有する
- 意思決定の基準や方法を決める
- データや事実に基づいて判断する
- フィードバックや評価を行う
友達と起業する場合は、特に感情や偏見に左右されないように注意する必要があります。客観的かつ論理的に判断することで、ビジネスの成果を高めることができます。
起業成功者の行動パターンを模倣する
友達と起業するとき、自分たちのアイデアやビジョンにこだわりすぎると、失敗のリスクが高まります。そこで、起業成功者の行動パターンを模倣することが有効な方法です。
起業成功者の行動パターンとは、具体的には以下のようなものです。
- 市場ニーズを的確に捉える
- 競合他社の弱点を見つける
- 顧客満足度を高めるために改善を続ける
- チームワークを重視し、メンバーの能力を引き出す
- 自分の強みや弱みを認識し、学び続ける
これらの行動パターンを模倣することで、友達と起業する際の問題点を克服し、成功に近づくことができます。もちろん、模倣だけではなく、自分たちのオリジナリティや独自性も大切ですが、起業成功者の行動パターンは参考になる指針となります。
友達との起業はメリットだけでなくリスクも多い
友達と起業することは、多くのメリットがありますが、同時にデメリットや失敗のリスクも存在します。友達と起業する場合は、事前に会社経営の知識を身につけたり、効果的な意思決定構造を作ったり、起業成功者の行動パターンを模倣したりすることが重要です。
友達と起業することは、夢を実現するための一つの手段ですが、それだけでは成功は保証されません。友達と起業する場合は、ビジネスパートナーとしても友人としても良好な関係を築きながら、常に学び成長し続けることが大切です。