人の脳には答えが出るまで探し続けるという性質があります。未完成な情報の答えを知りたくてたまらなくなるこの性質は、心理学用語でザイガニック効果とよばれています。
ザイガニック効果には暗示効果がありマーケティングや人間関係にも使えるため、この性質を知ることであなたの人生をより良く変えられるかもしれません。
具体例を使ってわかりやすく解説していますので、ぜひ理解して使いこなしてくださいね。
ザイガニック効果とは、続きが気になる心の作用
ザイガニック効果とは、脳内に入ってきた情報に空白部分があると気持ち悪さを感じ、足りない情報を知りたくてたまらない状態になることをいい、心理学ではよく知られている脳の性質です。
例えば、映画の予告編を見ると本編が気になって仕方がない、週刊誌の見出しだけを見て内容が知りたくてたまらないような経験をしたことはありませんか?
人間の脳には、未完成な情報を完結させたい習性が備わっており、空白部分を放っておけずその答えを探し続けるのです。
そしてあなたが考えることをやめた後も、空白を埋めるため脳は答えを探し続けています。
この「足りない情報を埋めたくなる性質」をザイガニック効果といいます。(ツァイガルニク効果ともよばれています)
ザイガニック効果は誰にでも働く心理誘導
多くの人は無意識にこのザイガニック効果を経験しています。
日常生活の中で最もこの影響を受けているのはテレビからでしょう。ドラマの途中、それも盛り上がる場面の直前にCMにいってしまい「わー、今からいいところなのに!」なんて思ったことはありませんか?つづきが絶対に見たいからCMの間にお手洗いにダッシュなんて経験もあるかもしれませんね。
この中途半端に与えられた情報の全てが知りたくてたまらない状態は、まさにザイガニック効果の働きなのです。
脳の空白ともいえるドラマの続きを知るためには、テレビを見続けるしかなく、さらには次回の展開も気になる終わり方をされると、あなたはすっかりとりこになっていることでしょう。
これはドラマの制作側に心理的に誘導された結果といえますね。
ザイガニック効果を応用して言葉による無意識のコントロールも可能
周りからの影響以外にも、あなたが何気なく口にしている言葉もあなたに影響を与えています。
「脳は空白を嫌う」この性質は脳内に入ってきた情報に働くことを覚えておいてください。
あなたが新しいチャレンジを前にして「できないかも」とつぶやいたとしましょう。その情報を受け取った脳は「できないかも」と言った理由は何なのか、過去にどんな失敗があり、何を根拠にその言葉が出ているのか、脳内にある「できない理由」という空白部分を埋め始めます。
その情報はあなたに伝わり、やっぱりできない可能性が高いと自己暗示のように思い込んでしまうのです。
使う言葉に無意識のコントロールを受けるのですから、わからなくても「できるかも」と言ってみましょう。そうすると脳は「できるかもしれない理由」を探し始め、脳内に情報がない場合は外にも探しに行きます。その結果あなたの前には、できるかもしれない理由が集まりだすことでしょう。
ザイガニック効果を使うと人を惹きつけるのは簡単
テレビのCMやあなたの発する言葉以外の日常会話にも、ザイガニック効果は働いています。
あなたの周りになぜか人を惹きつける魅力のある人がいませんか?
そのような人は基本的に聞き上手で、意識的にではないにしても、話の中に「相手に考えてもらう余白を含む会話」をしている可能性が高いといえます。
会話に中で一方的に理由と結果を完結させず、あなたの意見や気持ちを引き出してくれるような流れを作ってくれるのです。さらには、自分の全てをさらけ出さず、気にかけさせるテクニックを持っていることでしょう。
「今度、聞いて欲しいことがある」「次、会った時に話すね」などの言葉を受け取った脳は、内容を知らないため空白が生まれます。
いったい何の話があるのだろう、内容が知りたいから早く会いたい、という空白を埋めたくてたまらない心理になり、相手のことが気になってしまうのです。
マーケティングではザイガニック効果が有効
この誰にでも備わっている心理的効果は、マーケティングにとても有効です。
どんなに良い物を提供していても、興味を持ってもらえなければ意味がありません。
売れるテクニック以前に興味を持ってもらい、知ってもらうことが重要なのです。
では、ザイガニック効果を使うことでどのような効果が得られるのでしょうか?
3つの例で説明していきましょう。
クリック率が上がる暗示効果
クリック率を上げたい時には、その先が気になる!と強く感じてもらうことが必要となります。
ザイガニック効果を応用して、クリックしなければその先の情報を知れないようにしましょう。
あまり詳しく書かないことで、もう少し知りたいと興味を持ってもらえるのです。
情報が少なすぎると信頼されないデメリットもありますので、気になる部分を残すくらいでも効果はあるでしょう。
セールスレターが読まれる暗示効果
セールスレターを読んで欲しい時には、何よりもタイトルで惹きつけることが大切です。
伝えたいことを全て明らかにせず、内容に期待してもらうことで、読み進めてもらうのです。効果的な使い方の例を上げてみます。
- なぜ○○は〇〇なのでしょうか?(なぜあなたのセールスレターは読まれないのでしょうか?)
- 〇〇とは?(読まれるセールスレターの秘密とは?)
- 理由は〇〇にあった!(あえて〇〇と伏せ字にすることで答えが知りたくなる)
まず「なんだろう?」と興味をひくタイトルをつけましょう。そして最後まで読んでもらうために、誘導文や問いかけを文章の中で有効に使ってみましょう。
- もし本当に〇〇になったらどうしますか?
- あなたは〇〇を知っていますか?
人の脳には質問や疑問の答えを知りたくなる性質があるので、結論を書き始める前に期待をさせてもっと知りたい!と思わせる誘導文をぜひ使ってみましょう。
また会いたいと思わせる暗示効果
相手にあなたのことを印象づけるには、どうすれば良いでしょうか?インパクトを与えるほどのキャラでもなく話術もない、そのようなときに有効なのは、盛り上がっているときに立ち去る方法です。
不思議に思われるかもしれませんが、どんな人だったのかな?もう少し話してみたかったな。と思われるほど印象に残るのです。
わかりきっている人よりも、まだ全てを知らない人に興味を持つことは、実はザイガニック効果の働きだったのです。
言葉は自己暗示を作り出している
ザイガニック効果は、もちろん相手に与えるだけではありません。
あなたの言葉があなた自身にも影響を与えていることにも目を向けてみましょう。
人は様々な思い込みから言葉を発しています。その何気なく使っている言葉が自己暗示になっているとしたら?一度あなたの自己暗示を確認してみましょう。
ネガティブになりやすい理由
自信がないとき、何かに悩むとき、あなたはどのような言葉を脳に送っているでしょうか?
- やりたくない
- 逃げたい
- 無理に決まっている
このようなことを考えているとき、それを受け取った脳は理由を探し始めます。
- やりたくない理由
- 逃げたい理由
- 無理に決まっている理由
そこに負のループが生まれ自己暗示がかかり、悩みから抜け出せないネガティブ感情に支配されやすくなるのです。
これは脳の性質を知ることで簡単に切り替えられます。意識して望む言葉を送ってみましょう。
- やればできる
- なんとかなる
この言葉を受け取った脳はどうするでしょうか。もちろん、やればできる、なんとかなる理由を探し始めるのです。それは方法や考え方かもしれません。
あなたは無意識にどんな自己暗示をかけていますか?
恋愛上手になるには
恋愛で悩むことが多い人にぜひ知って欲しいことがあります。恋愛はかけ引きといわれるように、相手の心理を理解することは大変役に立ちます。
相手に興味を持ってもらうには、あえて全てはさらけ出さず、もっと知りたいと思わせましょう。好きすぎて何でも話してしまうと、相手にすべてを知られてしまい飽きられる可能性が高いので要注意です。
付き合いが長くなるとマンネリ化して、ちょっとよそ見をしたくなる心理はザイガニック効果が一因にあるのです。
お互いにほどよい距離感を保ち、少しくらい秘密の部分がある関係性が、実は長続きの秘訣かもしれませんね。
望む自分になるのは簡単
あなたはどんな人生を送りたいですか?
もし不安や心配ばかりの人生に悩んでいるとしたら、脳の性質を理解して味方につけることで、望む人生を歩むことができるでしょう。
無意識に脳にかけていた言葉をこれからは意識して選びましょう。
あなたが脳に問いかけることを、脳は探しだしてくれるはずですよ。
ザイガニック効果のまとめ
ザイガニック効果とは「足りない情報があるとできる空白部分を埋めようとする脳の性質」です。脳は質問を投げかけることで答えを探し、疑問があると気になって仕方ない状態になります。
受け取った言葉をなぜそうなのか理由を探り完結しようとするため、思い込みが強調される自己暗示効果もあります。脳の性質を効果的に使うことは、より良い未来を送るための手助けとなることでしょう。