推敲しても納品後に修正点がたくさん見つかる、実は推敲のやり方がよく分からない、という方は多いのではないでしょうか。
推敲のやり方を押さえれば文章の完成度は確実に上がります。
なぜなら推敲には、文章を改善するためにチェックすべきポイントがあるからです。
当記事では具体的なポイントだけでなく、進め方のコツも紹介します。
より効率的な推敲方法も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
推敲/校正/添削/校閲の違い
推敲と似た意味を持つ言葉として、校正、添削、校閲があります。
ここでは推敲を理解するために、それぞれの言葉の意味を説明します。
チェックする内容 | 作業するタイミング | 作業する人 | |
推敲 | 言い回しや表現などの改善点 | 執筆の後 | 執筆者 |
校正 | 誤字、脱字などのミス | 推敲の後 | 編集者や校閲者 |
添削 | 構成や表現などの改善点 | 推敲の後 | 執筆者以外 |
校閲 | 内容の矛盾やミス | 推敲の後 | 編集者や校閲者 |
推敲
推敲とは文章を十分に吟味して練り直すことです。
執筆した本人が行うもので、書き上げた文章がより良くなるように何度も考えて書き直す作業を指します。
校正
校正とは、文章と元の原稿を比べて誤りや不備を正すことを指します。
推敲は文章をより良くすることが主な目的ですが、校正はミスを拾う作業です。
添削
添削とは、他人が書いた文章を加筆したり削除したりして直すことです。
推敲は執筆者が行うのに対して、添削は他人が手直しする作業を意味します。
分かりやすい文章になるよう、文章の構成や表現を見る点は推敲と似ています。
校閲
校閲とは、内容の誤りや不備な点を調べて検討し、訂正したり校正したりすることです。
他人が行う点は校正、添削と同様ですが、内容の事実確認まで踏み込んで直す点が特徴です。
推敲でチェックするポイント
なんとなく文章を見直すのではなく、ポイントを明確にして推敲しましょう。
読みやすい文章にするには押さえるべきポイントがあるからです。
ここではプロのライターや編集者もチェックする、具体的なポイントを紹介します。
文章を確実にレベルアップしたい方は、ぜひ参考にしてください。
文字や文法の誤りを確認する
まずは文字や文法に注目して文章を読み直しましょう。
いくら内容が良くても、誤りがあったり見た目が悪かったりすると信頼性が低下するからです。
具体的に見るポイントは以下のような点です。
- タイプミスや漢字変換ミスがないか
- ですます調、である調などの語尾が統一されているか
- てにをはの助詞の使い方が適切か
長すぎる文は短くする
長い文はまず短くしましょう。文が長いと主語と述語の関係が分かりづらかったり、趣旨が伝わりにくいからです。
媒体や文章によりますが、一文は40~60文字程度に収めることが好ましいです。
長い場合は意味の切れ目で区切れるか見直してみましょう。
(例)
推敲前:初めてランニングに挑戦する人はいきなり走らずまずはウォーキングから始めて、30分間を1~2週間続けて慣れたら走る時間を徐々に長くし、1~2ヶ月で30分間走るのを目標にすることがおすすめです。
推敲後:初めてランニングに挑戦する人はいきなり走らず、まずはウォーキングから始めましょう。30分間のウォーキングを1~2週間続けて、慣れたら走る時間を徐々に長くします。そして1~2ヶ月で30分間走るのを目標にすることがおすすめです。
不要な表現をなくす
無駄な言い回しや文言がないかチェックしましょう。
良い文章とは、シンプルで違和感なく読める文章だからです。
冗長的な表現や回りくどい言い回しは一瞬、読者の思考を妨げる可能性があります。
また不要にネガティブな印象を与える表現は使わないようにしましょう。
(例)
推敲前:努力ということを重ねれば目標に届かなくもないと信じて、嫌でも毎日トレーニングを積むことが大切です。
推敲後:努力を重ねれば目標に届くと信じて、毎日トレーニングを積むことが大切です。
同じ言葉や言い回しをなくす
同じ言葉や言い回しが多用されている場合、置き換えが必要です。
近い場所で同じ表現が続くと、くどい印象や稚拙なイメージを与えるからです。
例えば以下のような点がないか、チェックしましょう。
- 同じ主語や言葉の連続
- という、ので、など、こと、の、が、といった表現の多用
- 「です」または「ます」など同じ語尾の連続
(例)
推敲前:初心者はいきなり走ると足を痛めるので、歩くことから始めることがおすすめです。また初心者は三日坊主になりやすいので、ランニング仲間を作ることがおすすめです。
推敲後:初心者はいきなり走ると足を痛めるので、歩くことから始めましょう。
また三日坊主にならないように、ランニング仲間を作ることがおすすめです。
接続詞、接続助詞を適切に使う
接続詞や接続助詞の使い方があっているか、今一度確認しましょう。
適切でない使い方をすると、別の解釈を与える可能性があります。
よくあるのは接続助詞「が」が逆説になっていないようなケースです。
前後の文章を読みながら、正しい使い方か、違和感なく読めるかチェックしましょう。
(例)
推敲前:テニスは人気のスポーツですが、中高年になっても多くの人に親しまれています。
推敲後:テニスは人気のスポーツで、中高年になっても多くの人に親しまれています。
読み手が分かる表現か意識する
推敲する際は、読み手が分かる表現か意識しましょう
指示語の指す部分が分かりづらかったり難しい文言、抽象的すぎる表現があると、読者満足度の低下につながるからです。
WEB上の文章は飛ばし読みされることが多いです。例えば指示語とその内容が離れていると、飛ばした箇所を読み返す必要が出てきます。
また想定読者にとって難しい表現は、補足情報を載せたり具体的に説明するのがよいでしょう。
推敲のコツ
チェックの進め方にもコツがあります。
コツを押さえることで推敲の精度と効率を高められます。以下、3つのコツを紹介します。
音読する
音読して推敲することをおすすめします。
黙読だと無意識に読み飛ばしたり、読み替えたりすることがあるからです。
また目だけでなく音で確認した方が、より効率よくポイントに気づけるでしょう。
チェックするポイントを分けて何度も読む
一度の音読ですべてを見るのではなく、見るポイントを変えながら何度も読む方法がおすすめです。
これはプロの編集者、校閲者がチェックする方法でもあるからです。
何度も読むのは一見、効率悪く感じるかもしれません。
しかしポイントを絞って推敲する方が、精度が上がり結果的に効率も上がります。
時間をおいて読む
読み直す際は、時間をおいて読んでみましょう。
時間を空けた方が、より客観的に見られて気づきを得やすいからです。
翌日読んでみると、前日に気づかなかった修正点が見つかることもあります。
時間に余裕があれば、一日おいてもう一度読むとよいでしょう。
推敲のデメリットと推敲支援の方法
吟味するほど良い文章になる一方、推敲には時間がかかるというデメリットがあります。
また時間をかけても、自分の文章に気づきを得るのは限界があると思う方もいるでしょう。
そのような方のために、推敲支援の手段を紹介します。
他人にも読んでもらう
自分で推敲する以外に、他人にも読んでもらいましょう。
なぜなら他人の目線で見ると、自分だと気づかない部分に目が行くからです。
自分で推敲すると、癖や固定概念からは抜けられない可能性があります。
また実際、読者は他人なので、他人の観点でチェックすることは重要でしょう。
推敲支援ツールを使う
以下に該当する方には、推敲支援ツールがおすすめです。
- 読んでもらえる人がいない
- 自分のペースで推敲を進めたい
- 毎回、最低限同じ品質で確実にチェックしたい
ここでは4つの有料、無料ツールを紹介します。
料金以外に特徴、使用形式もまちまちです。以下を参考にぜひ検討してみてください。
文賢(有料ツール)
文賢には校正や校閲のほか、推敲支援として17個以上のチェック項目があります。
初期費用は高めですが、高機能なので総合的に見るとコスパがよいでしょう。
料金(税抜) | 特徴 | 形式 |
初期費用:
10,800円 月額: 1,980円 |
|
ブラウザ |
---|
(参照元:文賢)
Tomarigi(無料ツール)
Tomarigiは無料ながら表記、文構造などをチェックできるツールです。
誤字やタイプミスなどを見る機能はないため、別途ツールを併用するとよいでしょう。
料金 | 特徴 | 形式 |
無料 |
|
ソフトウェアダウンロード |
(参照元:Tomarigi(校正・推敲支援ツール))
so-zou.jp(無料ツール)
So-zou.jpは主に、間違った表現や不適切な表現を指摘してくれるツールです。
ブラウザ上に文章をコピペするだけで使用できるので、手軽に活用できます。
料金 | 特徴 | 形式 |
無料 |
|
ブラウザ |
(参照元:so-zou.jp 文章校正ツール)
リライトマーカー(無料ツール)
リライトマーカーは、という、ので、など、こと、などの多用されがちな語句をハイライトするツールです。
接続詞やこそあど言葉をチェックする姉妹ツールがあるので、併用するのがおすすめです。
料金 | 特徴 | 形式 |
無料 |
|
ブラウザ |
(参照元:リライトマーカー)
推敲は回数を重ねれば上達する
執筆と同様、推敲も回数を重ねれば上達していきます。
また推敲支援ツールを活用すれば、推敲の精度と効率を高められるでしょう。
推敲のやり方を身に付けて、より読みやすく完成度の高い文章を目指してみてください。