「ら抜き言葉」とは?|例と簡単な見分け方を紹介

「ら抜き言葉で修正を受けたけれど、見分け方がよくわからない!」

と困っている方に、

  • ら抜き言葉が出現する法則
  • すぐにわかる見分け方、文章チェックの仕方

を紹介します。

「ら抜き言葉は間違っているの?日本語としてどんな位置づけなの?」という部分まで説明するので、ぜひ参考にしてください!

目次

ら抜き言葉とは?

ら抜き1 1 - 「ら抜き言葉」とは?|例と簡単な見分け方を紹介

ら抜き言葉とは、助動詞「られる」から「ら」が抜け落ちた言葉のことです。

例えば「来れる」は「来れる」のら抜き言葉です。

ら抜き言葉にきちんとした法則性があります。

  • 「られる」が可能を意味するときにのみ出現する
  • 上一段活用・下一段活用・カ変活用でのみ出現する
ら抜き言葉になる活用形
  • 上一段活用
    母音がイで終わる動詞(例:見-る、着-る)
  • 下一段活用
    母音がエで終わる動詞(例:食べ-る、決め-る)
  • カ変活用
    活用形がカ行に変わる。カ変活用は「来る」のみ

ら抜き言葉の例文

ら抜き2 - 「ら抜き言葉」とは?|例と簡単な見分け方を紹介

以下はら抜き言葉の代表例です。すべて「ら」が抜け落ちています。

  • 「こんなに食べれない」(食べられない)
  • 「明日は早く来れる?」(来られる)
  • 「起きれない」(起きられない)
  • 「多すぎて決めれない」(決められる)
  • 「1人じゃ着れない」(着られる)
  • 「もうすぐ出れます」(出られる)
  • 「いきなり言われても考えれない」(考えられる)
  • 「あっちまで投げれる?」(投げられる)

ら抜き言葉の見分け方

ら抜き3 scaled 1 - 「ら抜き言葉」とは?|例と簡単な見分け方を紹介

ら抜き言葉か判断するには、活用形から考えるのが確実です。

しかし、いちいち活用形を意識して書きませんよね。

活用形よりもっと単純で、簡単な見分け方があります。

可能型は「ら」入れで音読チェック

ら抜き言葉の特徴は、「することができる」を意味する可能型に限定されることです。

そのため、可能型で「れる・られる」を使っている部分だけ集中的にチェックしましょう。

ら抜き言葉のチェック手順
  1. 「れる」「れな」「れま」をそれぞれ文字検索する。
  2. それそれの前に「ら」を入れて、「られる」「られな」「られま」の形にして音読する
    • 音読して違和感がない  →ら抜き言葉
    • 違和感がある、または意味が変わる →ら抜き言葉ではない

    『ら』入れで違和感があるパターン

    • 「明日なら来(ら)れるそうだ」→ら抜き言葉
    • 「起き(ら)れなかった!」→ら抜き言葉
    • 「あだ名で呼ば(ら)れる」→?

    最後のように「ら」を入れて違和感があれば、ら抜きで正しい言葉です。

    『ら』入れで意味が変わるパターン

    • 「屋上から花火が見(ら)れます」→ら抜き言葉
    • 「Lサイズなら着(ら)れる」→ら抜き言葉
    • 「まだ走(ら)れますか?」→敬語?

    3番目の「走れる」だけ、「ら」を入れると意味が変わります。

    「走られますか?」だと敬語表現になってしまうので、「走れる」で正解です。

    文章校正ツールを使う

    機密でない文章なら、文章校正ツールを使うのも簡単でスピーディです。無料のツールでも、ら抜き言葉は比較的高精度で拾います。

    ら抜き言葉Ennno - 「ら抜き言葉」とは?|例と簡単な見分け方を紹介
    (出典:Ennoチェック結果より)

    試しにEnnoで例文をチェックしてみると、「ら抜き言葉」または「ら抜き言葉の可能性あり」とすべて正しく検知しました。

    無料ツールのなかでは、Ennoが”ら抜き言葉チェッカー”としておすすめです。

    ひとまずEnnoでチェックすれば「ら抜き言葉を連発して、クライアントの信頼を失ってしまった!」という悲劇は防げるでしょう。

    ただし、すべてのミスを拾うわけではないので、自分でも気づけるよう「ら」入れでチェックする訓練は必要です。

    ら抜き言葉はもはや間違いではない?

    ら抜き4 1 - 「ら抜き言葉」とは?|例と簡単な見分け方を紹介

    新聞や書籍、Webの世界では誤りとされるら抜き言葉。

    しかし文化庁の世論調査では、「見られた」「出れる?」が2015年時点ですでに多数派となっています。

    実際、会話のなかでら抜き言葉を使われても、違和感を持たない人が多いのでは?

    すでに「ら抜き言葉=間違った日本語」とは断定できない状況になっています。

    (参考:平成27年度「国語に関する世論調査」の結果について

    「ら抜き」は可能を示す言葉の変化

    ら抜き言葉は、可能性を示す言葉の変化だと捉える向きもあります。

    4つの意味を持つ「られる」が、ら抜き言葉にすると可能の意味に限定できるからです。

    られる
    • 可能:「ここから夜景が見られる」
    • 尊敬:「王様は絵画を見られています」
    • 受身:「さっきからずっと見られている」
    • 自発:「秋になれば窓から紅葉が見られる(「見える」の誤用)」
      れる(ら抜き)
      • 可能:「ここから夜景が見れる」
      • 尊敬:「王様は絵画を見れています」
      • 受身:「さっきからずっと見れている」
      • 自発:「秋になれば窓から紅葉が見れる(「見える」の誤用)」

        ら抜き言葉を使えば、前後の文脈で意味を推測せずに済みます。

        文化庁によると、ら抜き言葉が登場したのは昭和初期。目立ってきたのが最近なだけで、実はら抜き言葉の歴史は長いのです。

        誤りというより”言葉の変化途中”だとする意見にも頷けます。

        正式にはまだ俗語扱い

        「見られた」「出れる?」で多数派になったといっても、すべてのら抜き言葉が市民権を得たわけではありません。

        特に「られない」という不可能の意味では、ら抜き言葉を使う人は少数派です。

        「食べれない」を使う(60.8%) >「食べれない」を使う(32.0%)

        「考えれない」を使う(88.6%) >「考えれない」を使う(7.8%)

        (出典:平成27年度「国語に関する世論調査」の結果について

        口語で使われていても、ら抜き言葉はまだ俗語扱いです。

        • フォーマルな場で使うのは失礼な印象
        • ビジネス文書で使うのはNG
        • Webライティングのでも修正対象

        カジュアルな間柄の相手にだけ使う言葉だと覚えておきましょう。

        まとめ|ら抜き言葉はTPOで使い分けよう

        ら抜き5 - 「ら抜き言葉」とは?|例と簡単な見分け方を紹介

        ら抜き言葉はカジュアルな口語表現です。

        Webライティングを含め、ら抜き言葉を文章中で使うのは避けましょう。

        ただし、下記のように口語表現が許容されるケースもあります。

        • 吹き出しのセリフ
        • SNSやメッセージでの気楽な会話
        • インタビュー記事(会話部分)
        • 執筆者の個性を出したいブログ

        特に下記3つは、世論調査で認知が進んでいるら抜き言葉です。

        • 「見れる」
        • 「出れる」
        • 「来れる」

        使用推奨はしませんが、口語的な使い方なら不自然ではないでしょう。

        さらに、文章で使いがちな口語表現に「い抜き言葉」と「さ入れ言葉」があります。ライターなら、覚えておいて損はないですよ!

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