「ら抜き言葉で修正を受けたけれど、見分け方がよくわからない!」
と困っている方に、
- ら抜き言葉が出現する法則
- すぐにわかる見分け方、文章チェックの仕方
を紹介します。
「ら抜き言葉は間違っているの?日本語としてどんな位置づけなの?」という部分まで説明するので、ぜひ参考にしてください!
ら抜き言葉とは?
ら抜き言葉とは、助動詞「られる」から「ら」が抜け落ちた言葉のことです。
例えば「来れる」は「来られる」のら抜き言葉です。
ら抜き言葉にきちんとした法則性があります。
- 「られる」が可能を意味するときにのみ出現する
- 上一段活用・下一段活用・カ変活用でのみ出現する
- 上一段活用
母音がイで終わる動詞(例:見-る、着-る) - 下一段活用
母音がエで終わる動詞(例:食べ-る、決め-る) - カ変活用
活用形がカ行に変わる。カ変活用は「来る」のみ
ら抜き言葉の例文
以下はら抜き言葉の代表例です。すべて「ら」が抜け落ちています。
- 「こんなに食べれない」(食べられない)
- 「明日は早く来れる?」(来られる)
- 「起きれない」(起きられない)
- 「多すぎて決めれない」(決められる)
- 「1人じゃ着れない」(着られる)
- 「もうすぐ出れます」(出られる)
- 「いきなり言われても考えれない」(考えられる)
- 「あっちまで投げれる?」(投げられる)
ら抜き言葉の見分け方
ら抜き言葉か判断するには、活用形から考えるのが確実です。
しかし、いちいち活用形を意識して書きませんよね。
活用形よりもっと単純で、簡単な見分け方があります。
可能型は「ら」入れで音読チェック
ら抜き言葉の特徴は、「することができる」を意味する可能型に限定されることです。
そのため、可能型で「れる・られる」を使っている部分だけ集中的にチェックしましょう。
- 「れる」「れな」「れま」をそれぞれ文字検索する。
- それそれの前に「ら」を入れて、「られる」「られな」「られま」の形にして音読する
-
- 音読して違和感がない →ら抜き言葉
- 違和感がある、または意味が変わる →ら抜き言葉ではない
『ら』入れで違和感があるパターン
- 「明日なら来(ら)れるそうだ」→ら抜き言葉
- 「起き(ら)れなかった!」→ら抜き言葉
- 「あだ名で呼ば(ら)れる」→?
最後のように「ら」を入れて違和感があれば、ら抜きで正しい言葉です。
『ら』入れで意味が変わるパターン
- 「屋上から花火が見(ら)れます」→ら抜き言葉
- 「Lサイズなら着(ら)れる」→ら抜き言葉
- 「まだ走(ら)れますか?」→敬語?
3番目の「走れる」だけ、「ら」を入れると意味が変わります。
「走られますか?」だと敬語表現になってしまうので、「走れる」で正解です。
文章校正ツールを使う
機密でない文章なら、文章校正ツールを使うのも簡単でスピーディです。無料のツールでも、ら抜き言葉は比較的高精度で拾います。
(出典:Ennoチェック結果より)
試しにEnnoで例文をチェックしてみると、「ら抜き言葉」または「ら抜き言葉の可能性あり」とすべて正しく検知しました。
無料ツールのなかでは、Ennoが”ら抜き言葉チェッカー”としておすすめです。
ひとまずEnnoでチェックすれば「ら抜き言葉を連発して、クライアントの信頼を失ってしまった!」という悲劇は防げるでしょう。
ただし、すべてのミスを拾うわけではないので、自分でも気づけるよう「ら」入れでチェックする訓練は必要です。
ら抜き言葉はもはや間違いではない?
新聞や書籍、Webの世界では誤りとされるら抜き言葉。
しかし文化庁の世論調査では、「見られた」「出れる?」が2015年時点ですでに多数派となっています。
実際、会話のなかでら抜き言葉を使われても、違和感を持たない人が多いのでは?
すでに「ら抜き言葉=間違った日本語」とは断定できない状況になっています。
(参考:平成27年度「国語に関する世論調査」の結果について)
「ら抜き」は可能を示す言葉の変化
ら抜き言葉は、可能性を示す言葉の変化だと捉える向きもあります。
4つの意味を持つ「られる」が、ら抜き言葉にすると可能の意味に限定できるからです。
- 可能:「ここから夜景が見られる」
- 尊敬:「王様は絵画を見られています」
- 受身:「さっきからずっと見られている」
- 自発:「秋になれば窓から紅葉が見られる(「見える」の誤用)」
- 可能:「ここから夜景が見れる」
- 尊敬:「王様は絵画を見れています」
- 受身:「さっきからずっと見れている」
- 自発:「秋になれば窓から紅葉が見れる(「見える」の誤用)」
ら抜き言葉を使えば、前後の文脈で意味を推測せずに済みます。
文化庁によると、ら抜き言葉が登場したのは昭和初期。目立ってきたのが最近なだけで、実はら抜き言葉の歴史は長いのです。
誤りというより”言葉の変化途中”だとする意見にも頷けます。
正式にはまだ俗語扱い
「見られた」「出れる?」で多数派になったといっても、すべてのら抜き言葉が市民権を得たわけではありません。
特に「られない」という不可能の意味では、ら抜き言葉を使う人は少数派です。
(出典:平成27年度「国語に関する世論調査」の結果について)
口語で使われていても、ら抜き言葉はまだ俗語扱いです。
- フォーマルな場で使うのは失礼な印象
- ビジネス文書で使うのはNG
- Webライティングのでも修正対象
カジュアルな間柄の相手にだけ使う言葉だと覚えておきましょう。
まとめ|ら抜き言葉はTPOで使い分けよう
ら抜き言葉はカジュアルな口語表現です。
Webライティングを含め、ら抜き言葉を文章中で使うのは避けましょう。
ただし、下記のように口語表現が許容されるケースもあります。
- 吹き出しのセリフ
- SNSやメッセージでの気楽な会話
- インタビュー記事(会話部分)
- 執筆者の個性を出したいブログ
特に下記3つは、世論調査で認知が進んでいるら抜き言葉です。
- 「見れる」
- 「出れる」
- 「来れる」
使用推奨はしませんが、口語的な使い方なら不自然ではないでしょう。
さらに、文章で使いがちな口語表現に「い抜き言葉」と「さ入れ言葉」があります。ライターなら、覚えておいて損はないですよ!
関連記事:い抜き言葉とは?|例文と見分け方を紹介