日本語には、「話し言葉(口語)」と「書き言葉(文語)」があります。
- 話し言葉:普段の会話で使う言葉
- 書き言葉:文章を書くときに使う言葉
仕事で文章を作成するなら、使用するのは書き言葉です。しかし、つい話し言葉を書いてしまい、修正されることもありますよね。
そこで今回は、うっかり使いがちな話し言葉をまとめました。見やすいよう一覧にしていますので、迷ったときの確認にもお使いください。
文章で使いがちな「話し言葉」一覧
よくある話し言葉
話し言葉 | 書き言葉 |
---|---|
です/ます | だ/ある |
こっち/そっち/あっち/どっち | こちら/そちら/あちら/どちら |
こんな/そんな/あんな/どんな | このような/そのような/あのような/どのような |
こんなに/そんなに/あんなに/どんなに | これほど/それほど/あれほど/どれほど |
なんで | なぜ |
でも | しかし |
だから | そのため/したがって |
~だけど | ~だが |
~ので | ~ため |
~だけでなく | ~のみならず |
~と言っても | ~と言えども |
~するため | ~すべく |
~じゃなくて | ~ではなく |
~なんです | ~なのだ |
~していて | ~しており |
~してなくて | ~しておらず |
~しちゃった | ~してしまった |
~ばっかり | ~ばかり |
さっき | さきほど |
やっと | ようやく |
ちゃんと | きちんと |
いろんな | さまざまな/いろいろな |
たぶん | おそらく |
だいたい | およそ |
やっぱり | やはり |
全然 | まったく |
いっぱい/たくさん | 多数/多くの |
全部 | 全て |
一番 | 最も |
ちょっと | 少し/やや |
もっと | さらに/より |
絶対に | 必ず/決して |
とっても/すごく | 非常に |
どんどん | 急に/急速に |
だんだん | 緩やかに/徐々に/しだいに |
ら抜き言葉
ら抜き言葉は「食べられる」→「食べれる」のように助動詞「られる」を省略する話し言葉です。
書籍はもちろん、Webメディアの多くでも禁止しているため、ライターは特に注意しましょう。
ら抜き言葉の詳しい解説やチェック方法は「「ら抜き言葉」とは?|例と簡単な見分け方を紹介」を参考にしてください。
い抜き言葉
い抜き言葉は「現在向かっています」→「現在向かってます」のように「い」が抜ける話し言葉です。
会話のテンポを大切にする話し言葉では、助詞の欠如とセットでい抜き言葉をよく使います
い抜き言葉の解説とチェック方法は「い抜き言葉とは?|例文と見分け方を紹介」を参考にしてください。
ぼかし表現
会話でよく使うぼかし表現も、話し言葉です。
ぼかし表現 | 例文 |
---|---|
~たり | 「AはBだったりします」 |
感じ | 「AはBって感じです」 |
みたいな | 「AはBです、みたいな」 |
とか | 「AはBとかです」 |
~的 | 「AはB的です」 |
個人的には/わたし的には | 「個人的には、AはBです」 |
ぼかし表現は、相手に判断の余地を残す柔らかい表現です。
会話のような、キャッチボールが前提のコミュニケーションには適しています。
しかし、文章のなかで使うとその曖昧さがマイナスに働きます。
- 情報の信頼性が薄れる
- 結論が弱く感じる
- 自信がなさそうに聞こえる
仕事やライティングでの使用は避けましょう。
重複表現
重複表現は、「二重表現」「重言」などともいう”同じ意味の言葉を重ねる”表現です。
強調の意味もあるため、明確に誤用とは言えません。
しかし、文章では違和感を与えやすいため、避けたほうがよいでしょう。
重複表現の例 | 修正後 |
---|---|
まず最初に | 最初に/まず |
おおよそ~くらい | おおよそ/約/~ほど |
一番最後 | 最後 |
違和感を感じる | 違和感を持つ/違和感がある |
頭痛が痛い | 頭が痛い |
断トツの1位 | 断トツ |
射程距離 | 射程 |
犯罪を犯す | 罪を犯す |
SEO対策 | SEO/SEO施策 |
満天の星空 | 満天の星 |
アンケート調査 | アンケート/調査 |
さ入れ言葉
さ入れ言葉は、「伺わさせていただきます」のように不要な「さ」を入れてしまう言葉です。
間違った謙譲語のため、使ってしまうと稚拙な印象を相手に与えます。仕事のメールやビジネスシーンでは、特に注意しましょう。
さ入れ言葉については「さ入れ言葉とは?|例と解説、簡単な見分け方を紹介」で詳しく解説しています。
「話し言葉」と「書き言葉」の違いとは?
話し言葉は、会話で使用される言葉。書き言葉は、文章に使われる言葉です。
- 言葉のキャッチボールを前提としている
- 文法の正しさよりも、会話のスムーズさを重視
- 書き手から読み手へ、一方向の情報伝達を前提としている
- 読み手との認識の不一致を防ぐため、正しい文法が求められる
話し言葉=”書き言葉を会話向けに省略したもの”といえます。
文章は「書き言葉」が基本!が、例外もあり
書き言葉は情報伝達に優れるものの、すべてを書き言葉にしてしまうと、硬く、敷居の高い印象になります。
例えば、Web上で「口当たりを滑らかにすべく、3回裏ごしを行っている」のような文章は、滅多に見ませんよね。
ターゲットに共感と親しみを持ってほしい場合は、「です/ます」「~するため」などの馴染み深い話し言葉を混ぜた文章が適します。
”話し言葉はすべてNG”ではなく、例外もあると考え、レギュレーションをよく確認しましょう。
どんな媒体にも対応できるよう、きちんと使い分けられるようにしておきたいですね。