バンドワゴン効果とは、「みんなが買うならよい商品のはずだ!」「みんなが持っているから私も欲しい!」と思ってしまう心理効果です。
主にマーケティングで使われる用語ですが、ライティングをはじめ、日常でもかなり役立ちます。
この記事では、バンドワゴン効果を事例付きでわかりやすく解説します。関連するほかの心理効果も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください!
バンドワゴン効果とは?流行りに乗りたい心理
バンドワゴン効果を簡単にいうと、”すでに人気のもの、支持を受けているものを応援したくなる”心理効果のことです。
1950年、アメリカの経済学者H.ライベンシュタイにより提唱されました。
例えば買い物で、次のような経験はありませんか?
- 口コミで高評価だと気になる
- 迷ったら友達のおすすめを買う
- 『話題の商品!』のポップに目がいく
実はすべてバンドワゴン効果です。
バンドワゴン効果には、”他人の行動に影響されてしまう人間の習性”が隠れています。
バンドワゴン効果はなぜ起こる?わかりやすく解説
バンドワゴン効果は、人間の持つ同調現象から発生します。
というのも、私たち人間は帰属意識(集団に属している意識)を強く持つ動物。良くも悪くも、自分の属する集団の意見を無視できません。
1人で集団に逆らうのは強いストレスを感じるため、本能的に同調を選びやすいのです。
バンドワゴン効果は人間の本能から生まれる心理効果ゆえに、絶大な威力があるといえます。
バンドワゴン効果の実験
実験でも、バンドワゴン効果の威力は証明されています。1951年、社会心理学者のソロモン・アッシュが次のような実験を行いました。
- 8人の参加者に、誰でも解けるような簡単なテストを出す
- 答えを一人ひとり順番に言わせる
- 実は8人中7人は仕掛け人で、7人はわざと不正解の回答をする
実験の結果、仕掛け人と同じ不正解を選ぶ被験者が続出しました。
実験の状況を想像するだけで、被験者の居心地悪さと、不正解を選んでしまった気持ちが理解できますよね。
集団のなかでバンドワゴン効果が働くと、人間は正常な判断が難しくなります。
バンドワゴン効果に関連する心理効果
「バンドワゴン効果?いやいや、人気と聞くと逆に買う気が失せるよ」なんて方もいるでしょう。
実は、バンドワゴン効果には真逆の心理効果もあるんです。
心理効果 | 購買欲UP | 購買欲DOWN |
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バンドワゴン効果 |
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アンダードッグ効果 |
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スノッブ効果 |
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ヴェブレン効果 |
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アンダードッグ効果
アンダードッグ効果は、バンドワゴン効果とちょうど真逆の心理効果です。バンドワゴン効果と2つ合わせて『アナウンスメント効果』とも言われます。
- 負けているチームをつい応援してしまう
- 売れずに困っていると聞くと、買ってあげたくなる
同情心ともいえますね。弱小チームのサクセスストーリーがヒットしやすいのも、アンダードッグ効果です。
スノッブ効果
スノッブ効果は、バンドワゴン効果と対になる心理効果です。
- みんなとは違うものが欲しい
- 期間限定と聞くと買いたくなる
希少性や、他人と違うことに価値を感じる心理です。
「最初は気に入っていたけれど、みんな持ち始めたからもう使いたくない」なんて心境の変化は、スノッブ効果が働いています。
スノッブ効果については、別の記事で詳しく解説しています。
ヴェブレン効果
ヴェブレン効果はスノッブ効果と相性が良く、マーケティングではだいたいセットで使われています。
- 一般人には手の届かない品だから価値がある
- 他人から「すごい!」と思われるとうれしい
顕示的消費とも言われ、他人に見せびらかすためにお金を使う心理です。
SNSでブランド品をアップしたり、高級スーパーを好んで使うのは、ヴェブレン効果の影響があるでしょう。
身近なバンドワゴン効果の例
「アンダードッグみたいな真逆の効果もあるのに、バンドワゴン効果って本当に効くの?」「メカニズムがわかれば引っかからないでしょ?」と思いますよね。
実はスマートフォンが普及した現代は、昔よりもバンドワゴン効果の威力が発揮されやすい状況にあるんです。
身近な具体例を紹介します。
例1:広告で人気をアピールすると売れる
広告は明らかにバンドワゴン効果を狙ったものがたくさんあります。
- 「売上No.1!」
- 「売り切れ続出」
- 「即興収入1位!」
「売れているのだから、よいものなのだろう」と思わせる昔からの謳い文句です。
さらに、SNSや口コミサイトを使ってバズらせる手法も増えています。
- インフルエンサーにおすすめしてもらう
- 試供品や割引券を配って口コミを書いてもらう
買う前に、ついSNSで評判をチェックしてしまいませんか?慎重に選んでいるつもりで、実はバンドワゴン効果に背中を押されているだけかも知れませんよ。
例2:恋愛でモテる人はよりモテやすい
恋愛でもバンドワゴン効果が働きます。
- 「A君ってかっこいいよね」
- 「実はBちゃんのことを狙っている」
仲間内で評判になると、バンドワゴン効果で「素晴らしい人なんだ!」と思われ争奪戦になります。モテがモテを呼ぶわけです。
ほかにも、合コンで出会った人がSNSで人気のアカウントだったら、ちょっと特別な人に見えますよね。
恋愛指南書で「非モテアピールはNG」「さり気なくモテを匂わそう!」などと書かれているのも、バンドワゴン効果を狙っているからです。
例3:話題作はおもしろいと感じやすい
ドラマやアニメ、漫画などの話題作でも、バンドワゴン効果が見られます。
- 「話題になるのだから、きっとよい作品のはずだ」
- 「みんな見ているなら、私も見ようかな」
という心理が働くわけです。
例えば『エヴァンゲリオン』『進撃の巨人』『鬼滅の刃』などは、普段アニメを見ない幅広い層を取り込んで一大ブームになりました。
バンドワゴン効果は同調圧力にもつながるため、称賛の意見が多ければ多いほど、褒める人が増えていった面もあるでしょう。
日本人はバンドワゴン効果に弱い?
バンドワゴン効果を紐解くと、”和をもって尊しとなす”日本人にはかなり相性がよさそうです。
実際、日本人は周囲の意見に流されやすく、流行に乗りやすいことで有名。海外行事だったハロウィンをコスプレイ祭りにする節操のなさも、バンドワゴン効果が爆発しやすい国民性といえます。
しかし、心理効果を使ったマーケティングが簡単なわけではありません。
そもそもバンドワゴン効果の発生には、コンテンツ自体の品質の高さが必須です。マーケティング会社がいくらテコ入れしても、コンテンツに実力がないと火がつきません。
消費者としてバンドワゴン効果を利用するなら、あえて流行に乗ってみるのも、失敗が少なく効率的な消費行動かも知れませんね。
なお、バンドワゴン効果以外にも心理効果はたくさんあります。
もしバンドワゴン効果がピンと来ない場合、『スノッブ効果』や『カリギュラ効果』の紹介も見てみてください。この2つも、本能に訴える強力な心理効果です。